愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「陽月、すぐに気づかなくてごめん。もう大丈夫だから」

奏吾さんの言葉に、私は手の震えが止まっていることに気づいた。


「え、お姉ちゃんの彼氏……?な訳ないよね?もしかして、縁談相手?」


菜々は縁談相手……つまり、奏吾さんがこんなにも格好良い人だとは思っていなかったのだろう。

奏吾さんは、今も菜々に厳しい視線を向けている。

菜々はそれに気づいて、奏吾さんに笑顔を向ける。


「初めまして。お姉ちゃん……陽月の妹の菜々です」


奏吾さんは菜々に視線を向けたまま、返事を返さない。

菜々は私を守るように立っている奏吾さんが気に入らないようだった。

「……本当にお姉ちゃんが好きなんですね。どこがいいのか私には分からないけど」

「っ!」

奏吾さんの顔色に怒りが滲《にじ》む。
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