愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「そんな怒らないで下さいよ。お母様にお願いして、お姉ちゃんを別の人と結婚させたくなっちゃいそう」

「っ!!ふざけるな!」

「これでも、深井の令嬢なら誰でもいいっていう人も多いんですよ?お姉ちゃんみたいな人でも」

菜々の挑発的な言葉に奏吾さんの顔はさらに険しくなる。


「……これ以上、陽月を傷つけたら許さない」


「私も喧嘩するつもりはありません。とりあえず、我が家に来ませんか?お母様にお姉ちゃんの縁談相手を紹介しないと」

そう言って、菜々は歩き出して行ってしまう。

奏吾さんはすぐに私に向き直る。

「陽月、大丈夫か……!?」

「私は大丈夫です。それより、妹が申し訳ありません。失礼な態度を……」

「そんなことは気にしなくていい。それに、陽月の実家にだって陽月が行きたくないなら行かなくていい」

奏吾さんの全てを受け入れてくれる優しさに甘えたくなる。

それでも、このままではダメだと私も分かっていた。

奏吾さんに甘えるだけじゃなくて、私も強くなりたい。
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