愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
そして、私は菜々の方に向き直る。

「菜々も二度と奏吾さんを傷つけるようなこと言わないで」

「は?」

「奏吾さんは私を大事にしてくれているの。だから、私も私を大切にする」

菜々の顔に怒りが滲《にじ》んだのが分かった。

それでも、お母様の前なので、菜々は目に涙を溜めてお母様に泣きつく。


「お姉ちゃん、なんでそんなに酷いことを言うの……!」


菜々が泣いているのを見て、お母様はさらに厳しい口調に変わった。


「陽月、いい加減にしなさい」


お母様に加勢するように、菜々も言葉を畳み掛ける。


「お姉ちゃんの方がよっぽど私に酷いことを言っているじゃない。そんなに私が嫌いなの……!?」


私は、一度深く息を吐き、勇気を出す準備をする。
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