愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「菜々、これは何?」

「うーん、私の縁談!お姉ちゃんに譲ってあげる。お母様にお願いしたら用意してくれたんだけど、やっぱり私、愛のある結婚がしたくなっちゃった!お姉ちゃん、この縁談変わって?」

「え……?」

「折角、お母様が用意してくれたのに相手にも悪いじゃない?」

突然の意味の分からない話に私は困惑したままだった。


「あ、行かなかったらウチの家名に傷がついちゃうから、お姉ちゃんに拒否権はないけど」


それだけ言って、菜々は帰ろうとする。

「待って……!急にそんなこと言われても……!」

「何回も言わせないでよ。お姉ちゃんに拒否権ないから」

菜々はもう一度それだけ言って、帰って行った。


「どうしたらいいの……」


そう呟いた声は、一人きりの部屋に静かに響いた。
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