愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される

「どうしましたの？」


「いや、貴方の言う可愛い娘に『陽月』は含まれていないようだったので、あまりに怒りが湧いてつい笑ってしまいました」


「はい？」

「貴方が陽月を大切にする人ならば、もう少し対応を考えるつもりだったのですが、遠慮は要らなそうですね。深井財閥が取引している藤原財閥を知っていますか？……まぁ、知らないはずないか。一番の大口の取引先ですし」

「それがどうしましたの？」



「藤原財閥は滝田財閥の傘下になりました。もはや、深井財閥は滝田財閥の敵ですらない」



「！？」



「藤原財閥は、深井財閥との取引は私の判断に一任してくれるそうです。まぁ、勿論、私も深井財閥は良い取引先だと考えています」

「……ただ、陽月が傷つけられるなら別ですが」



「っ！仕事と陽月は関係ないでしょう！？」



「普通はそうですね。それに、仕事とプライベートは別に考えるべきでしょう」

「でも、私は陽月みたいに優しくない。愛する人が傷つけられるなら、手段など選ぶつもりは毛頭ない」

「……陽月を傷つけておいて、全く悪いとも思っていない貴方達に私は腹が立ってしょうがない」



奏吾さんの厳しい言葉に、お母様と菜々の顔色は徐々に悪くなっていく。