愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「私たちはどうすれば良いのですか……」


「先ほども言ったとおりです。もう二度と、陽月を傷つけないで下さい」


奏吾さんはそれだけ言い放つと、私の手を引いて、実家から出ていく。

家を出た後も、奏吾さんは暫く私の手を握っていた。


「陽月、すまない。俺の対応のせいで、陽月と家族の間の溝が深まってしまったかもしれない」


奏吾さんは、母と妹への対応が正しかったのか不安なようだった。


「奏吾さん、私、家族とは家を出てから殆ど会っていないんです」


「……?」


「つまり、もうあまり思い入れもありません。奏吾さんに守って貰えて嬉しかった。それに……」


私は奏吾さんと目を合わせると、自分の口に人差し指を当てた。



「……実は、ちょっとだけすっきりしちゃいました。秘密ですよ?」



私がいたずらっ子のように笑うと、奏吾さんはつられるように笑った。
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