愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
その時、奏吾さんに言われた言葉が頭をよぎる。


「こうやって目を合わせて俺に『助けて』って言えば、いつでも陽月を助けるよ」


今、目の前に奏吾さんはいない。

目を合わせることも、「助けて」と言うことも出来ない。

そんなことは当たり前に分かっている。

だから……

私は携帯を取り出し、奏吾さんにメッセージを送る。


「奏吾さん」


すぐに既読がつく。


「陽月、どうかした?」


いつでも隣に奏吾さんがいる訳じゃない。

どんな時でも助けてくれる訳じゃない。





「奏吾さん、『頑張れ』って言ってくれませんか?」




数秒後。

たった六文字だけのメッセージ。




「頑張れ、陽月」




さぁ、もう怖いものはないでしょう?
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