Keyless☆Night 一晩だけでいいから、泊めて?
後日談『進藤くんちのウラ事情』

【Side K】

【Side K ──叶絵視点──】



雅貴(まさき)くんは、思っていたよりも。

「えっと……どうかした?」
「何が、ですか?」

うわ、真顔で()き返された。
もしや彼にとってこれは、通常運転なの?

ぴったりと寄り添われた身体と、スマホを置いたとたん絡めとられる指先───雅貴くんは『甘えたなネコ彼』だった。

一瞬、どうしたものかと考えたけれど。

「ううん、なんでもない」
「そうですか」

微笑みを浮かべた雅貴くんが私の肩にもたれて、その愛しすぎる重みがかけられる。
……別に、彼の体温も匂いも不快じゃないし。むしろ、なんかいい匂いがするし。
え? 何つけたら、こんないい匂いすんの?

「このあと、ウチ来る?」

と、晩御飯&お家デートのつもりのお誘いをした今日。
久しぶりに重なったシフトは、初めて雅貴くんのアパートに泊まった翌日以来だった。

まつ毛長いな〜、いい匂いするな〜、と。
食後のまったり時間をイケメン(彼氏になってくれた奇跡にバンザイ)な雅貴くんの横顔を見て過ごす幸せ。
神様、ありがとう。今度、何か御供えします。

なんて、阿呆なことを思っていたら。
文庫本に目を落としていた雅貴くんが、私の視線に気づいたように、ふっと笑い、こちらを見た。

「……叶絵(かなえ)さん。今度、オレの両親と会ってもらってもいいですか?」
「いいよー。……って、え? ご、ご両親!?」
「はい。都合が良い日、教えてもらえれば」
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