Keyless☆Night 一晩だけでいいから、泊めて?
❖❖❖❖❖
「も、最中って、大丈夫かな? 高級チョコレートとかのが良かったかな?」
雅貴くんのご実家があるマンション付近のコンビニの駐車場で待ち合わせして。
現在、そのマンションのエントランスに着いたところ───で、急に、地元じゃ有名、全国無名の和菓子で良かったのかと、不安に駆られてしまう。
雅貴くんはそんな私に、例によって表情を変えずにあっさり言い放った。
「どちらかと言うと、母は粒餡が好きなので問題ないです」
「え? パッ…、お父様はこし餡派だったりする?」
「いえ、父は『まいさん派』です」
「へ? それ、どこの高級老舗和菓子店?」
手土産は何を持って行ったらいい? と訊いたものの、雅貴くんは「なんでも大丈夫ですし、なんなら必要ないです」という返答。
いや、手ぶらでお宅訪問したら、絶対「五つも年上の癖に非常識な女だな」のレッテル貼られるでしょ!
という私のツッコミに、雅貴くんが教えてくれた『進藤くんちの事情』は───。
「……叶絵さん、年の差気にしてますけど、オレの両親、ひと周り違うんで無用な心配ですよ」
「いやいやいや、男の人が12歳年上とかって昔はよくあったろうし、なんなら今だって」
「いえ、母のほうが父より年上です。正確には十三年上です」
「…………え?」
「も、最中って、大丈夫かな? 高級チョコレートとかのが良かったかな?」
雅貴くんのご実家があるマンション付近のコンビニの駐車場で待ち合わせして。
現在、そのマンションのエントランスに着いたところ───で、急に、地元じゃ有名、全国無名の和菓子で良かったのかと、不安に駆られてしまう。
雅貴くんはそんな私に、例によって表情を変えずにあっさり言い放った。
「どちらかと言うと、母は粒餡が好きなので問題ないです」
「え? パッ…、お父様はこし餡派だったりする?」
「いえ、父は『まいさん派』です」
「へ? それ、どこの高級老舗和菓子店?」
手土産は何を持って行ったらいい? と訊いたものの、雅貴くんは「なんでも大丈夫ですし、なんなら必要ないです」という返答。
いや、手ぶらでお宅訪問したら、絶対「五つも年上の癖に非常識な女だな」のレッテル貼られるでしょ!
という私のツッコミに、雅貴くんが教えてくれた『進藤くんちの事情』は───。
「……叶絵さん、年の差気にしてますけど、オレの両親、ひと周り違うんで無用な心配ですよ」
「いやいやいや、男の人が12歳年上とかって昔はよくあったろうし、なんなら今だって」
「いえ、母のほうが父より年上です。正確には十三年上です」
「…………え?」