悪女は今日、初恋を知る。
*
「皇から離れなさいよ! こんの悪女が!!」
べちゃっ。
上級生の怒鳴り声と共にソフトクリームが、
わたしの長髪にべっとり付いた。
そんな昼休みを過ごすわたしは、花形きよら、15歳。
黒葉高校に入学して一ヵ月経つけど、今日もこの通り、「悪女扱い」されてます。
少し開いていた1階の廊下の窓をガラっと全開に開けて、
わたしの隣にかっこよく飛び降りてくるさくら色の髪をした男子、
世浪皇くんのせいで。
「俺のきよらに何してんの?」