悪女は今日、初恋を知る。
「ひえっ! 皇ごめんなさい!!」
顔を青ざめた金髪女子の上級生は謝り去っていく。
「きよら、ごめん。一足遅かった。大丈夫か?」
「うん、大丈夫、制服に付かないように回避したから」
わたしは笑い、鞄からタオルを出す。
「それにしても、せっかくのふわふわのソフトクリーム、勿体ない」
「ソフトクリームより自分を気にかけなよ」
「きよら、ほら貸して」
「あ、うん」
タオルを手渡すと皇くんはわたしの髪をタオルで拭いて、くん、と香りをかぐ。
「こ、皇くん!?」
「甘い香り」
皇くんの行動と髪の香りの方が甘いです。
「髪早く洗った方がいいな、帰ろう」
皇くんはわたしの手を握って歩き出す。
キミの悪女になった日のように。