幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
でも、外来で渡せばいいような用紙を『必要ではないかと思って』とわざわざ届けてくれるなんて。今まで、ちゃんと仕事をしてきた証だろう。

俺と再会するまでにも白石さんに嫌がらせを受けていたんだろうに。それでも辞めずにいた真衣は、俺の知らないところで変わっていたんだな。

でも、これから先は俺が守ってやりたいーー。
離れていた分の時間を埋めるわけではないけど、この先の真衣の時間は全部俺がもらう。

そう心に決めて、俺は外来患者の診察を続けた。


* * *

外来が終わった午後。
軽食を摂り、オペを終わらせた俺は、再び外科外来へと向かった。

静かになった診察室では、俺の先輩ドクターに当たる木村先生が、外来の電子カルテを操作していた。


「大沢、午前中は大変だったな」
「まぁ、そうですね。今のところ、命に別条なさそうですけど」

「さすが大沢だな。大学で、(しご)かれてきただけのことはある」


そう言いながら、木村先生は電子カルテのそばに置いてある栄養ドリンク剤を一気飲みした。

どうやら彼も、忙しく食事が摂れていないらしい。忙しすぎると俺も食事を摂らないこともあるので、よくわかる。

でもなにか食べないと脳が働かないので、ポケットには常にチョコレートが入っている。
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