幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
というのは口実。ただ俺が、真衣を手放したくないだけだ。


「真衣のことイジメたら、全部俺の耳に入るよ? そうしたら、どうなるかわかるだろ?」


白石さんのことを真っ直ぐ見つめながらそう言った俺は、真衣を連れてその場を離れた。

人気の少ない非常階段のところへ真衣を連れて来ると、彼女のことを抱きしめる。


「お、大沢先……」
「〝翔くん〟だろ?」
「えっ!?」

「真衣、いつまで他人行儀なんだ?」


戸惑いを隠せていない様子の真衣。そんな彼女が可愛い。


「だ、だって……久しぶりだから、どう接したらいいかわからなくて」
「今まで通りでいいんだよ、真衣」


そっと、真衣の頬に手を添えた。たちまち頬をピンク色に染めた彼女は、なにも言わずに俯いた。


「しょ……翔、くん」


俺にだけ聞こえるような小さな声で、真衣が俺のことを呼んでくれた。嬉しくて、もうそれだけでこの後の仕事が頑張れそうな気がする。


「真衣、どうした?」
「あ、あの……さっきの話しは……」

「あぁ、あれ? 婚約者だって言っておけば、イジメてこないかと思って。ダメかな?」


そう言った俺に、真衣は首を横に降る。

お、つまり。
これはもしや、手ごたえありか?

俺の婚約者でも、問題ないってことだよな。
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