幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました

10年越しの両想い

『真衣、大澤先生と婚約したって本当!?』


電話口で大騒ぎしているのは、同僚の真理子。

金曜日の夜。明日はお休みだからと缶チューハイ片手に、録り溜めたドラマをのんびり鑑賞していたところ、真理子から連絡が入った。

真理子が聞きたいのは、昨日の白石さんとのやり取りだろう。昨日の今日で、もう耳に入ったようだ。

まぁ、院内には噂好きな人たちが多いから、すぐに広まっても無理はない。むしろ、あんな公開婚約宣言のような形になってしまっていて、誰が聞いていたかわからない。

真理子もきっと、人伝てに耳にしたのだろう。


「う、うん。まぁ……」
『え!? なんでそうなったの!?』

「実はね……」


私は真理子に、翔くんのことを全部話した。

幼なじみだということ。白石さんの嫌がらせが、ここ最近ヒートアップしていたこと。

真理子はすべてを聞き終えて驚きを隠せない様子だったけれど『10年越しの両想いだ!』と大喜びしてくれた。

確かにそうかもしれないけど、少し照れ臭い。


『嫌がらせから助けてくれるなんて、大沢先生って紳士ね』
「うん。でも翔くんは、ずっと昔からこんな感じだから、助けたことくらいなんとも思ってないよ」

『なに言ってるの。真衣だから助けてくれたんでしょ!』
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