幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
電話の向こう側で声のトーンを上げて話す真理子だけれど、真相はわからない。

小学生の頃、高学年に悪口を言われている私のことを庇ってくれたこともあったし、それくらいのノリかもしれないから、あまり舞い上がらないようにしないと。


『まぁいいや。結婚式、楽しみにしてる』
「あー……、うん。ありがとう」


それだけ言って、電話を切った。

そうだ。婚約したとなると、次に思い浮かぶのは結婚式。でもこの婚約の話しは、白石さんをけん制するための嘘でしかない。

早いところ、真理子には真相を明かした方がいいのかもしれない。


…♪ …♪ …♪

そんなことを考えていると、再びスマホが着信を知らせる。画面を確認すると、翔くんからだ。


「も、もしもし?」
『お、出た。お疲れ様』
「うん。翔くんもお疲れ様。どうしたの?」

『いや。特に用はないんだけど』


翔くんの返答に「あははっ、なにそれ」と笑うと、電話の向こう側の翔くんも同じように笑った。

懐かしい……。まるで、昔に戻ったみたい。一緒に遊んでいた頃は、よくこうして些細なことで笑い合っていた。

10年以上も経っているのにも関わらず、昔と変わらず笑い合えて嬉しく思う反面、翔くんの気持ちがはっきり見えずに困惑してしまう。
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