幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
私がそう言うと、翔くんは嬉しそうに笑ってから私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

こんな風になんの躊躇いもなく、幼い頃のように私に触れてくれることが、とっても嬉しい。


「さて。行きますか」
「うん。お願いします」

「今日は可愛い姫が一緒だから、安全運転で行かなきゃだな」


そう言いながら翔くんはサイドブレーキを解除すると、ゆっくりと車を発進させた。

ひ、姫って……。
まさか、私がふわっとしたシルエットのワンピースを着てきたから、そんな風に言ってる?


「私服も可愛いな」
「しょ、翔くんこそ。私服もスクラブ姿もかっこいいから、なんかズルい」

「そんな嬉しいこと言うなよ。襲うぞ?」
「なっ……!?」


なんという爆弾発言を! 冗談だとわかっていても、顔が熱くなる。


「お、顔真っ赤」
「からかわないで……!」


どうやら翔くんは、私の反応を見て楽しんでいるみたい。だけど、まさか翔くんの口から『襲う』なんて言葉が出てくるなんて思ってもみなかった。

翔くんは、私と離れている間にそういう経験をしたのかな? 私はずっと翔くんが好きなままだったけれど、翔くんは違うのかもしれない。

そう思うと、なんだか改めて長い期間離ればなれになっていたことを思い知らされたようで、胸がチクリと痛む。
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