幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
「黙り込んでどうした? 着いたぞ」


翔くんの声で我に返り顔を上げると、彼の顔が目の前にあって驚いた。あまりの近さに、心臓が跳ねる。


「体調悪かった?」
「ちっ、違うよ。ちょっと考え事してて……」
「体調悪いなら言えよ。俺が隅々まで診察してやる」

「だっ、だから……! 大丈夫だってば」


慌てふためく私を見て翔くんはニヤリと笑って運転席を降りると、助手席側に回ってドアを開けてくれた。

彼のスッと手が差し出され、首を傾げる。


「おいで」
「……う、うん」


差し出された手を握ると、翔くんは私を車から降ろしてくれた。

まさか翔くんがエスコートしてくれるなんて思っていなくて、さっきからドキドキが止まらない。


「こういうのいいよな。夫婦っぽい」
「う、うん。そうだね」


翔くんがそう言ってくれて、私も嬉しい。

小学生の頃は当たり前のように手を繋いで歩いたりしていたけれど、いつの頃からかそういうこともなくなっていた。久しぶりの翔くんのぬくもりは、私の気分を高揚させる。


「まずは真衣の洋服から見よう。今日は俺が支払うから、好きなの選んで」
「えっ!? ダメだよ。自分で支払うから……」

「真衣は俺の妻になるんだろ? いいから甘えておけ」
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