幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
私の言葉を遮ってお店の中へ進んでいく翔くん。

どうしよう……。
妻になるって言ったって、これは私を嫌がらせから守る偽造結婚みたいなものなのに。

それに本当に籍を入れるわけじゃないのに、私の洋服代を支払ってもらうことなんて出来ない。


「翔くん。私、自分で支払えるよ?」
「俺が支払いたいんだよ。可愛い真衣のために」


そう言いながら、翔くんは私に似合いそうな洋服を次々手に取っていく。


「ほら、これなんか真衣に似合いそう」


翔くんが私に見せてくれたのは、真っ白なシフォンワンピース。二の腕部分はふっくらバルーン袖になっていて、丈も長め。

背中部分は大きく開いているけれど、幅が広めのリボンで結べるようになっているデザインだ。


「よさそうだろ? 試着してみない?」
「うん。試着してみたい」


翔くんからワンピースを受け取ると、空いているフッティングルームへと向かった。

試着している間も「まだ?」「終わった?」と、翔くんの声が聞こえてきて、待ち遠しいという気持ちが伝わってくる。


「しょ、翔くん……これ、本当に似合ってるかな?」
「着れた?」

「着れたけど……」


次の言葉を待たずして、翔くんがフッティングルームのカーテンを開けた。
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