幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
小さい頃からずっと一緒だった翔くんはお兄さんみたいな存在で、いつでも翔くんに付き纏っていた。けれど中学生になってからは勉強や部活動に忙しくなって、顔を合わすことすら少なくなった。

頭がよかった翔くん。高校は地元ではなく県外の進学校へ進み、さらに会えなくなったとき、翔くんへの恋心に気付いた。

高校に入り新しい友達も出来て毎日楽しかったけれど、どこか心にぽっかり穴が空いていたように思う。大学を卒業してから商社の事務員として働いていたけれど、仕事の割に給料が少なくて、23歳を目前に退職。

それからこの久々子医療センターへ転職したのだけれど、医者になった翔くんがこの4月からここへ赴任してきて再会。

医者になっていた驚きと、再会の嬉しさ。そして……やっぱり、翔くんへの恋心はなくなってはいなかった。


「……好きって、言えてたらよかったのに」


誰もいない診察室に、ポツリ私の独り言。

この気持ちは、翔くんと離ればなれになったときからずっと思っていたこと。彼が県外へ行くと決まったとき『好き』の2文字が言えなかったことを、どれだけ悔やんだか。

悔やんでも、連絡先も知らない私はどうすることも出来ないまま青春時代が終わった。周りは彼氏が出来て幸せそうだったけれど、私には翔くんしかいなかったから。
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