幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
引越しのとき、翔くんが必要なキッチン用品を購入してくれた。

普段マンションで自炊することが少ない彼のキッチンには必要最低限のものしか取り揃えてなく、初日から困った。

買い出しの際「必要な物があったら買っていいよ」と言ってくれた翔くんのお言葉に甘えて、ずっと欲しいと思っていた圧力鍋を購入。

短時間で難しい煮込み料理ができるらしい圧力鍋。

今日、それを使ってみたいのだ。


「あとはお味噌汁でしょ、だし巻き卵でしょ……」


と、必要な材料を購入して、マンションへ帰宅。

スマホを見ると翔くんからのメッセージは入っていなくて、案の定オペが長引いているようだ。


「角煮、作ろうかな」


時刻は19時過ぎ。翔くんは何時に帰宅するかわからないけれど、きっとお腹を空かせて帰ってくるに違いない。

オペとオペの間には食事をする時間もなく、長時間なにも口にすることなくひたすらメスを握っている日もあると言っていた。

終わっても1人だと適当な食事で済ますことが多いらしく『栄養、偏ってると思う』と笑っていた。だからこそ、美味しい食事を作って待っていたい。


「えっと、まずは豚肉を……」


取り扱い説明書を片手に、圧力鍋に角煮の材料を投入していく。蓋を閉めて『角煮モード』に設定すると、あとは放置しておくだけだ。
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