幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
「え、めっちゃ簡単」


予想外の簡単な作業に、思わず声が出た。別に料理が苦手なわけではないけれど、あの手間暇掛かる豚の角煮がこんなに短時間で出来てしまうなんて驚きだ。

角煮を作っている間に具沢山のお味噌汁、だし巻き卵を作り、夕食が完成した。

それと同時に、ソファに放置していたスマホが震える。


「もしもし」
『真衣、今から帰る』
「お疲れ様。夕飯、出来てるよ」

『お、早く帰ろ。お腹ぺこぺこ』


そう言っている翔くんの声から、私にまで疲労感が伝わってくる。きっと、オペが大変だったのだろう。


「気を付けて帰って来てね」
『あぁ。すぐ帰る』


それから電話を切って10分程で、翔くんがマンションへ帰宅した。

「お帰りなさい」と玄関まで向かうと、突然翔くんに抱きしめられて心臓が跳ねる。


「あー……癒される」
「しょ、翔くん。ご飯冷めるよ?」

「んー……? でも、こっち先がいい」


そう言いながら、翔くんは私の唇にキスをした。

翔くんのマンションに住んでから、もう何度もキスをしているのに、毎回毎回ドキドキしてしまうのはおかしいだろうか。


「今日のメニューはなに?」
「角煮だよ。翔くんが買ってくれた圧力鍋で作ってみたの」

「おっ、マジで? 早く食べよう」
< 36 / 48 >

この作品をシェア

pagetop