幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
そう言いながら、夏目ドクターはエコー写真を渡してくれた。

黒い背景に、一部白っぽい部分。このエコー写真を見るまでどこか信じられないでいたけれど、嬉しさで胸がいっぱいになる。


「一緒に経過を見ていきましょうね」
「はい。ありがとうございました……!」


最後まで優しい笑顔だった夏目ドクターに深々とお辞儀をして、診察室を出た。

……早く。早く翔くんに報告しなきゃ。私たちの赤ちゃんがお腹にいると伝えたら、彼は一体どんな顔をするだろうか。

そんなことを考えながら外科外来に戻ると、いきなり白石さんに睨まれる。


「遅い」
「すみません……」

「あのさ、今日忙しかったでしょう? 早く休みたいのに、ノロノロ診察から帰ってくるのやめて!」


ーー…ドンッ

〝早くお昼休憩に行きたい〟と自分本意の考えを私にぶちまけた彼女は、私の肩に自分の肩をわざとぶつけると、外科外来から出て行ってしまった。

その勢いで身体がふらつき、手に持っていたエコー写真が床に落ちる。

酷い……。自分の思うようにいかないからって、なにも八つ当たりすることないのに。確かに外来は忙しかったけれど、お昼休みに入れていないのはみんな同じだ。

悔しくて、唇を噛み締めながらエコー写真を拾おうと屈んだとき。
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