幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
「え?」


大きな手が、先にエコー写真を拾い上げた。

驚いて屈んだまま顔を上げると、そこには翔くんが立っていて、驚いた様子でエコー写真を眺めている。


「真衣、これって……」
「……わ、私のエコー写真だよ」


あぁ、もう最悪だ。

本当はもっと違う形で翔くんに報告したかったのに、こんなところで知られてしまうなんて。なにもかも上手くいかず、嫌気が刺してくる。


「真衣、ちょっと来て」


翔くんに腕を引っ張られ向かった先は、真っ暗な薬剤倉庫。抗がん剤点滴や医療用として使用される、癌の鎮痛剤が保管してある場所で、ほとんど人が立ち入ることはない場所だ。

外科医である翔くんはこの倉庫の利用頻度が高いため、この倉庫の鍵を持っているようだ。


「ここはあんまり人来ないから」


そう言いながら倉庫の電気を点けた翔くん。棚には、見たこともない薬剤が棚いっぱいに陳列されている。

中に入ると、ヒヤリと空気が冷たい。


「さっそくだけど、真衣。もしかして……」
「妊娠してたの……。間違いなく、翔くんとの赤ちゃんだよ」

「………」


俯きながら、翔くんに妊娠のことを伝えた。

……どう思ったかな? まだ婚約の段階なのにいきなり妊娠を聞いて、翔くんは今どんな顔をしてる?
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