幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
昔と変わらない、翔くんの優しさが嬉しい。でも、もしも2人でいるところを誰かに見られたりしたら……。

そして彼の恋人がそれを聞いたりしてしまったら、お相手に申し訳ない。変わらず優しさをくれる翔くんに甘えたいけれど、グッと堪えた。


「真衣?」
「大丈夫、です。その……大沢先生を好きな人に悪いですから」

「え? ちょっ……真衣!?」


逃げるようにその場を離れると、私は急いで病院を出た。もちろん翔くんは、追いかけて来ない。

ほらね。
やっぱり、追いかけられない理由があるんだよ。
翔くんの恋人は、私とは違ってきっと才色兼備な女性だろう。

翔くんに相手がいるなんて知りたくもなかったけれど、『好き』と伝えてられなかった自分が悪いし、どうすることもできない。

これ以上翔くんに関わると、気持ちが抑えられなくなってしまう。明日からは少し距離を置こう。
そんなことを考えながら、自分のマンションへと向かった。


* * *

「ねぇ、ここの検査オーダー抜けてるんだけど」


翌朝。受付で患者さんの検査出しをしていた白石さんが、鋭い目付きで私に話しかけてくる。

別の患者さんの検査案内をしていた私は患者さんを検査に送り出すと、その人のカルテを開いた。
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