幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
腕を組んで、鋭い目付きでなにか一点を睨み付けている。


「大沢、先生……?」

「これは成田さんの確認ミスじゃない。白石さん、検査オーダー消したよね?」
「なっ……!? そ、そんなことしてません!」


翔くんの指摘に、白石さんは青ざめている。まさか、図星なんだろうか。


「隠しても無駄。削除履歴に残っているじゃないか」
「あ……」


それを言われた白石さんは、黙ったまま俯いてしまった。

そうだ。削除履歴を見れば、一発でわかるじゃない。わけのわからない出来事にテンパって、そんなことすっかり忘れていた。


「なんでそんなことした」
「………」

「まさか、成田さんへの嫌がらせ?」


白石さんに連続で質問をしている翔くんだけど、白石さんは沈黙を貫いている。

つまりこれは、私への嫌がらせだったということだ。一生懸命仕事をしているというのに、こんなことするなんて酷すぎる。


「次こういうことしたら、部署異動してもらうから。嫌がらせするような人は、ここには必要ない」


翔くんは吐き捨てるようにそう言って、診察室へと戻って行ってしまった。

もしかして、助けてくれた……?

だって、本当に絶妙なタイミングで現れて『成田のミスではない』と断言してくれた。
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