婚約破棄したら『悪役令嬢』から『事故物件令嬢』になりました
「君には申し訳ないけれど、やはり学生生活最後のパーティーは真実に愛するひとと参加したいからね」

「ごめんなさい、マッカラム様。
 彼もずっと悩んでいて、こんなギリギリになりました」

「……」
 
「悪く思わないで欲しい。
 君が誰と出席するかは知らないけど、欠席はしないでくれよ?
 卒業記念に、俺から君にサプライズをあげるよ」



 悪く思うな?
 私にサプライズをあげる、だと?


 事前に予告するサプライズ、って意味がわからない。
 何言ってんだ、こいつ? 案件です。
 頭わいてるな、お前ら? 案件です。



 それにこの女、私に近付いて親しげにしていた時は『エヴァンジェリン様』なんて、馴れ馴れしくしていたくせに。
 今となったら、家名呼びするのね!


 卒業記念のパーティーは、基本婚約者がいる者はそちらを優先する事と、それは暗黙の了解でした。


 いくら、彼が彼女と仲睦まじく毎日を過ごしていても、私達の婚約は続いていたので、取りあえず最初だけは一緒に入場になるだろう、と思っていた……んだよ! 私は!



 彼が私に対して愛情を持っていない事など、今更。
 私もまた彼を愛していない事を、彼自身も知っていた。


 それでも私達の婚約は解消されていなかったから、将来を共にするつもりだったよ?
 だって、そんな結婚は貴族の世界じゃよくあることだし、って。


 卒業2日前に彼から言われるまでは、ね!



 見た目程、私も強靭な神経していないから。

 パートナー無しの参加は正直云って、堪えます。
 皆様からの視線が怖い……


『こっち見るな、お前ら』と言えたら、どんなにスッキリするか。

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