婚約破棄したら『悪役令嬢』から『事故物件令嬢』になりました

12 アルパカな兄は飛ばされた

 私は直ぐにルーカスから引き離されて、兄に腕を掴まれてホールを出ました。


 私から『チビ』の連弾を受けたルーカスは大人しくなり、同じようにカイルに連れられて行きました。
 そこでお父様が到着するのを待つのでしょう。 


 ミシェーラのショックは大きく立っていられない状態だったので、女性教師が付き添い、事情聴取は明日以降に行われることとし、実家のお迎えが来たら、そのまま自宅謹慎と決まりました。




 パーティー会場には、ライオネルとエリィが残り、皆の気持ちが上向くよう、巧みな話術で盛り上げようとしていました。

 事の流れ(ルーカスへの断罪)を教えていなかったのに、ライオネルは自分から仕切り直し役を申し出てくれました。
 最初にルーカスの横領に気づいていながら、目を瞑ってしまったことに責任を感じているようです。



 テディは、私の連れていかれた音楽室とルーカスを連れていった理科室の間を何度か往復していました。


 どちらの保護者が先に着くかわからないから、なんて言ってたけど、そんなことは自ら確認しなくても報せを待てば良いのに。
 やっぱり、どちらの側も落ち着かなくてウロウロしていた感じかな。



 それにしても、ウチの父は怒るだろうな……
 ルーカスが私以外の女性と恋に落ちた話はしていましたが、男同士の例のあれ。


『まぁ、様子見だな、ほっておけ』の言葉で片付けた父です。
 わかっていることだけれど、娘の私よりハモンド侯爵との友情が最優先だったもの。



 まぁね……確かに私も、ルーカスはいつかは戻ってくるから、なんて楽観視していたから、お互い様なんですけどね。

 本当に友情、ってタチが悪いわ。

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