婚約破棄したら『悪役令嬢』から『事故物件令嬢』になりました
15 彼が優しい目をする理由を知っている
あ~ぁ、もうその先は言わなくてもいいよ。
はいはい知ってるよ、カイルが私をどう思ってるか、って。
初めて会った日。
私達7人 (テディ曰く『セオドア・セブン』) が、初めて揃って顔を合わせた日。
5歳の私の髪を引っ張った6歳の貴方は叫んだの。
今から思うと、小さい頃からよく叫んでいたわね。
「お前、僕ん家のグレートマグナムにそっくりだ!」
後からカイルのお母様が教えてくれました。
グレートマグナムは、カイル・グリフィン・バーンズのおウチで飼っている黒毛、灰青色目の子犬なんだって。
マグナムから産まれた子犬のグレートマグナム。
あの日から早くも13年が過ぎました。
父の同僚だったカイルのお父様は、私の父の上役になりました。
カイルは自分の事を僕ではなく、俺と言うようになりました。
子犬のグレートマグナムも儚くなり、今は孫のグレートマグナムなんたらアルティメット(略してアルティ)が、その見事な黒毛をなびかせて駆け回っています。
そしてカイルが私を見る視線は、子犬のグレートマグナムを懐かしむ優しい眼差し。
だからね、わかっているから18歳の乙女に向かって犬に似ている話はしなくていいからね。
しかしながら、亡くなった愛犬を懐かしむカイルにそれを告げられず。
私達ふたりの間には、沈黙が流れて。
何か気まずいわね。
カイルがテーブルの向こう側から、私の方に身を乗り出してきて。
「お、お、落ち着いて聞いてくれないか!」
顔の近くで叫ばないでね!
唾が飛んできたじゃない!
どうしたの?
私は落ち着いてるから、貴方が落ち着いてね?
はいはい知ってるよ、カイルが私をどう思ってるか、って。
初めて会った日。
私達7人 (テディ曰く『セオドア・セブン』) が、初めて揃って顔を合わせた日。
5歳の私の髪を引っ張った6歳の貴方は叫んだの。
今から思うと、小さい頃からよく叫んでいたわね。
「お前、僕ん家のグレートマグナムにそっくりだ!」
後からカイルのお母様が教えてくれました。
グレートマグナムは、カイル・グリフィン・バーンズのおウチで飼っている黒毛、灰青色目の子犬なんだって。
マグナムから産まれた子犬のグレートマグナム。
あの日から早くも13年が過ぎました。
父の同僚だったカイルのお父様は、私の父の上役になりました。
カイルは自分の事を僕ではなく、俺と言うようになりました。
子犬のグレートマグナムも儚くなり、今は孫のグレートマグナムなんたらアルティメット(略してアルティ)が、その見事な黒毛をなびかせて駆け回っています。
そしてカイルが私を見る視線は、子犬のグレートマグナムを懐かしむ優しい眼差し。
だからね、わかっているから18歳の乙女に向かって犬に似ている話はしなくていいからね。
しかしながら、亡くなった愛犬を懐かしむカイルにそれを告げられず。
私達ふたりの間には、沈黙が流れて。
何か気まずいわね。
カイルがテーブルの向こう側から、私の方に身を乗り出してきて。
「お、お、落ち着いて聞いてくれないか!」
顔の近くで叫ばないでね!
唾が飛んできたじゃない!
どうしたの?
私は落ち着いてるから、貴方が落ち着いてね?