婚約破棄したら『悪役令嬢』から『事故物件令嬢』になりました
ライオネルが私に求婚した事は既に社交界では有名になっているらしくて、今日は皆様の視線が痛くて痛くて。
このようにチクリと嫌味を言われても気にしないでおこう、と覚悟はしていたけれど。
この方は嫉妬からお声をかけてこられていないのは明白です。
だって、この方は……
ルーカスのお兄様、ケイレヴ様のご婚約者だったマリナ・スタイナー嬢でした。
ルーカスの横領、お父様の財務大臣免職、王都からの撤収……
ケイレヴ様は王城でお仕事を続けられていらっしゃいますが、一連の出来事からケイレヴ様とマリナ様の婚約も、ハモンド侯爵家の有責で破棄となって。
挙式一ヶ月前の破棄でした。
何事もなければおふたりは、今頃ご夫婦になられていた。
あの断罪の影響はこの方の人生まで変えてしまった。
「私、貴女も被害者なのだから、と。
自分で納得させようとしていましたの。
ですが貴女の新しいお相手が、あのモンゴメリー小公爵様だ、と聞いて」
静かな怒りを込めて、マリナ様に睨まれました。
いつも穏やかな微笑みしか向けられていなかったから、このような剥き出しの感情をぶつけられたのは初めてで。
「マリナ様、私……」
「もう名前で呼ばないでくださる?マッカラム様。
私とのご縁は切れましたのに」
マリナ様とはお互いにファルガー兄弟の婚約者として、幼い頃から親しくさせていただいていたのに。
義理の姉妹になる方だから、だけではなく本当に好ましい女性だったのに。
「ご婚約おめでとうございます……
ねぇ、おふたりで企んだ事なのかしら?
さすが、悪役令嬢と呼ばれるだけ……
お見事としか……」
「マリナ様?」
「そんな風に何も知らないなんて顔をしたって、もう騙されませんわ」
マリナ様が憎々しげに私に仰るその言葉の意味がわからない。
ライオネルとは、まだ婚約などしていない。
でも取りあえず、それは置いておいて。
ふたりで企んだ?
「ルーカス様が横領したきっかけは、モンゴメリー小公爵様からの借金でしょう?
下世話な言い方になりますけれど、おふたりが『邪魔なルーカス様を嵌めた』のですね!」
このようにチクリと嫌味を言われても気にしないでおこう、と覚悟はしていたけれど。
この方は嫉妬からお声をかけてこられていないのは明白です。
だって、この方は……
ルーカスのお兄様、ケイレヴ様のご婚約者だったマリナ・スタイナー嬢でした。
ルーカスの横領、お父様の財務大臣免職、王都からの撤収……
ケイレヴ様は王城でお仕事を続けられていらっしゃいますが、一連の出来事からケイレヴ様とマリナ様の婚約も、ハモンド侯爵家の有責で破棄となって。
挙式一ヶ月前の破棄でした。
何事もなければおふたりは、今頃ご夫婦になられていた。
あの断罪の影響はこの方の人生まで変えてしまった。
「私、貴女も被害者なのだから、と。
自分で納得させようとしていましたの。
ですが貴女の新しいお相手が、あのモンゴメリー小公爵様だ、と聞いて」
静かな怒りを込めて、マリナ様に睨まれました。
いつも穏やかな微笑みしか向けられていなかったから、このような剥き出しの感情をぶつけられたのは初めてで。
「マリナ様、私……」
「もう名前で呼ばないでくださる?マッカラム様。
私とのご縁は切れましたのに」
マリナ様とはお互いにファルガー兄弟の婚約者として、幼い頃から親しくさせていただいていたのに。
義理の姉妹になる方だから、だけではなく本当に好ましい女性だったのに。
「ご婚約おめでとうございます……
ねぇ、おふたりで企んだ事なのかしら?
さすが、悪役令嬢と呼ばれるだけ……
お見事としか……」
「マリナ様?」
「そんな風に何も知らないなんて顔をしたって、もう騙されませんわ」
マリナ様が憎々しげに私に仰るその言葉の意味がわからない。
ライオネルとは、まだ婚約などしていない。
でも取りあえず、それは置いておいて。
ふたりで企んだ?
「ルーカス様が横領したきっかけは、モンゴメリー小公爵様からの借金でしょう?
下世話な言い方になりますけれど、おふたりが『邪魔なルーカス様を嵌めた』のですね!」