無理やり結婚を迫られていたら、助けてくれたのは最愛の元カレでした
過去
「風花、俺と一緒に暮らさないか」
「え…」
その人は、私の手を優しく握ってそう言った。
彼に出会って、自分の意思を尊重される嬉しさを知った。
私はその人が本当に好きだった。
だからこの時も、同棲しようという言葉は私の心を湧きたてた。
でも…
「風花のことは絶対に俺が守るから、だから…」
「ごめんなさい。…私、もう先輩とは一緒に居られません」
「っ、どうしてだ?またあの家族に何か言われたのか?
あんな奴らの言葉なんて気にしなくていいんだ。風花は、俺と幸せになる事だけを考えればいい」
「ごめんなさい…、本当に、ごめんなさい…っ」
私の肩を掴んで、逃がすまいと必死に訴えかけてくる彼と目を合わせることが出来ず、ただ謝ることしか出来なかった。
「私のことは忘れてください…」
そう言って彼に背を向けて以来、連絡も一切取っていない。
いや、取ることを許されなかったと言った方が正しい。
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