無理やり結婚を迫られていたら、助けてくれたのは最愛の元カレでした


すると男性はまるで知り合いかのように話しかけてくる。

「風花ちゃん、会えて嬉しいよ。写真で見るよりも可愛いくて驚いたな」

「えっと…、あの、これは一体…?」

「あれ?ご両親から聞いてない?結婚前の両家顔合わせだって」

あり得ない単語が聞こえてきて、思考が停止しそうになるがなんとか次の言葉を紡ぐ。

「け、結婚って…。誰と誰が?」

「もちろん、僕と君がだよ」

「ッ、結婚なんて私、知りません!」

自分でも思ったより大きな声が出たが、これは致し方ないだろう。

相手も驚いたようだが、すぐに笑って受け流される。

「あぁ、照れ屋だっていうのは本当だったんだね。心配しなくても、僕が責任を持って君を幸せにしてあげるからね」

的外れなことを言われて、さっきから嫌な音を立てていた心臓の鼓動が更に早くなる。

「いや、だからっ、結婚なんて知らないし、する気もないんです!」

「こらっ、あんまり言うと失礼になるだろう」

「そうよ、あなたなんかにはもったいないくらいの良い方じゃない。あなただって乗り気だったでしょう?」
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