19時の待ち合わせは、恋の始まり。
「少しだけ、僕とデートしてくれませんか?」
私が、掴んだ裾の、
すぐそばに、手を伸ばしてくる男の人。
「〜〜っ、」
びっくりして、
手を引っ込めようとした瞬間。
「.....................っ、いいなら、
僕の手、握ってくれませんか?」
まるで、〝無理強いはしないよ〟
そんな風にも、
言っているように聞こえる男の人。
(神さま、ほんの少し、
弱虫な私に勇気をくださいっ、)
心の中で神さまにお願いしながら。
「〜〜っ、」
ほんの少し、
ためらいがちに、首を立てに振りながら。
私は、目の前の男の人の手を、
──────ゆっくりギュッと握った。