19時の待ち合わせは、恋の始まり。



「............あの、羽野さん、私......、」



言わなきゃいけないと思った。



〝マナさん〟なんかじゃない。



私の..................〝本当の名前〟を。



決意して、テーブルの下で、
ぎゅっとこぶしを握ったとき。



「マナさん、冷めないうちに飲もう」



そう言って、カップを手に取って、
コーヒーを口に運ぶ、羽野さん。



──────ドキン



羽野さんのその仕草が、
カッコよくて心臓が激しく脈打つのが分かる。



さっきから、
たぶん、すごく私は変だ............っ。



お店の窓の前でいた時からそうだった。

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