「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
加賀さんの運転する車が、流れるように走り出す。休日の道路はすいていて、朝の光の中をすいすいと泳ぐように進む。
「鹿山の今日の格好、女性らしくて素敵じゃないか」
「ありがとうございます、でもやっぱり全体的に大人しめになっちゃいますね。もっと私自身の容姿や雰囲気が華やかだったら良かったのですが」
「俺は十分可愛いと思うけどな。しかし今日は鹿山のいい所がもっとわかり易くなるよう、少しだけ手伝いをさせてくれ」
 素敵とか可愛いとか、副社長は顔色ひとつ変えずに言ってくれる。これはお世辞だとわかりきっているから、ちょっと恥ずかしいくらいで済んでいる。
 
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