「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
「今日はすべてお任せします。パートナーとして、私が隣にいても副社長が恥ずかしくないようにして下さい」
 私が頭をぺこりと下げると、副社長は首を横に振った。
「鹿山がそのままでも、俺はまったく恥ずかしくなんてない。十分過ぎるほどだ。だけどこれから鹿山のいい所をもっと引き出すのは、好き勝手な奴らでも鹿山の魅力がひと目でわかるようにする為だ」
 私のいい所、魅力。いまいちピンとはこないけれど、ここまでの厚意に、卑屈になり過ぎるのは良くない。
 それに、身に余るほど褒めらて自己肯定感がジワジワ修復されているのを実感している。
「あ……、ありがとうございます」
「お礼を言うのは俺の方だ。今回は社会勉強だなんて言って無理に鹿山には同伴を承諾させて、姉に鬼ほど叱られたよ」
「お姉さんて、まさか……!」
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