「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
「す、すみません……桜子さんの大ファンなので、つい熱くなってしまいました」
 かあっと顔に熱が集まるのを感じながら、私は副社長に謝った。
 副社長は私がお姉さんのファンだということを喜んでくれ、「良かった」と言う。
「そうか、なら話は早い。いまから家に向かってるんだ。今日は姉さんが、鹿山の変身を手伝ってくれる」
 しれっと、重大なことを言われた気がする。
 ……家? 桜子さんの家に、私が行く?
 最近かなり疲れていたから幻聴かな、なんて思っているうちに、気づくと車は高級住宅地に入り一軒の白亜の大豪邸のガレージに頭からするりと突っ込んだ。
 右にも左にも、高級車が鎮座している。この立派なガレージも、動画で見覚えのある。
 桜子さんが愛車のタイヤを自分で交換するという動画で、見たことのある風景だった。
 ふと見れば、その桜子さんの愛車のコンパクトな可愛らしいフォルムの外車も停まっている。
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