「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
「謝るのは私です、綺麗だなんて言われ慣れてないから恥ずかしくて顔を隠してしまいました」
 申し訳ありません、と頭を下げた。
 そうして上げると副社長は一転、信じられないと言わんばかりの顔でいる。
「鹿山……、君は本当に、例えばあのムカつく元彼にも綺麗だと聞き飽きるまで囁かれたりしなかったのか?」
 副社長は、どうなんだ?と聞いてくる。
「なっ、無いです! 学生時代に付き合いはじめた頃に一、二度言われたくらいで……。元彼は私が地味だと彼の友人からふざけて言われても、一緒に笑っているような人でしたから」
 明るくて社交的な元彼の今倉くん、その友達もいわゆる陽キャという雰囲気だ。それは学生時代から社会人になっても変わらずで、勤め先の同僚として紹介された人達も皆そうだった。
 中には度を越した失礼な人もいて、私を「地味子ちゃん」と呼ぶ人もいた。
 今倉くんは私の表情がこわばるのも気づかすに、一緒に笑っていた。
 
 
< 33 / 70 >

この作品をシェア

pagetop