「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる

車のなかで今倉くんや、その友達の話をした私に副社長は真剣な表情でうなづいてくれていた。
　私は胸にたまっていたものを、ほとんど副社長に打ち明けていた。
　加賀さんが運転してくれる車は、賑やかな街の一角に入った。
　休日だからか、買い物を楽しもうとする人達が行き交っている。
　この辺りは百貨店や海外のブランドショップが集まるところで、街並みからしてハイセンスだ。
　それぞれが個をアピールするセンス良いお店が建ち並ぶなか、ハイクラスのショップに連れてこられた。
　このブランドは普段副社長がさりげなく愛用しているので、自分には縁がないがなんとなく見掛け慣れて親近感みたいなものを持っていた。
　副社長を見るやいなや責任者であろう女性が挨拶にきてくれた。
「昴様、いらっしゃいませ」
　女性はそう言って、私にまで頭を下げてくれる。
　副社長は私の肩に軽く触れ、「この子に最高に似合うものを、トータルで」と短く伝えた。
　女性はにっこりと笑顔を浮かべ、「では」と状況が飲み込めない私、それに副社長と加賀さんをすぐに特別室のような場所に案内してくれた。