「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
なぜか切なく真剣な表情を浮かべるので、私は頭の処理が追いつかない。
「よ、ヨリだなんて、今倉くん……元彼に限ってありませんよ。あんなに可愛い新しい彼女がいるんですもん」
「鹿山も可愛いが? それに綺麗だ。それに今更気づいたら、自分の行いを棚に上げてまた接触してくる可能性だってある。……だからこれは魔除けでもあるんだよ」
 そう言って、副社長は私の手をそっと取ると左手の薬指にリングをするりとはめた。
 まるで長くそこにあったように、リングは私の薬指で輝く。あまりにも流れるよう自然にはめられたので、頭と上手く口が追いつかない。
「り、り、リング、どうして、サイズは!?」
 副社長はニヤリと笑い、店員さんたちを見る。店員さんたちは、ニコニコしている。
「粗方予想はできたが、絶対に失敗したくないから、さりげなく聞き出してもらえるよう頼んだんだ」
「さりげなくって……あっ!」
 ピアスを店員さんが選んでいたとき、一緒にネックレスやリングもあった。そこで店員さんにサイズをたずねられて……答えていた。
 
 
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