「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
すると、副社長が軽く片手を上げた。
「今倉さんがそこまで手作りにこだわるなら、もうひとつお祝いとして料理人ごとケータリングを呼びましょうか。ああ、そうだ。この建物内にはパーティールームがありましたよね? そこを借りて改めてお祝いのパーティーの用意を俺がしますよ。片付けまでしっかり任せてください。ここの管理会社とは顔見知りなので、すぐに連絡が取れますから」
 副社長の申し出を笹井さんは自分を庇ったと思ってか、「昴さぁん……!」と甘い声を出した。
「そうだ。せっかくだから俺の知り合いも呼んでもいいですか? 年齢はバラバラですが普段これからの業界の未来を語り合う、次期社長たちです。明るい方々なので、みなさんとも話が弾むかと思います」
 副社長の知り合い。次期社長たち。普段なら接する機会のあまりないセレブリティたちだ。
 繋がりが持てたら、なんて思っているのか。
 今倉くんや友人たちは、わかりやすく顔を紅潮させて息を飲んだ。
 
 
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