「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
「ご挨拶させていただきます! わたくし、 金山商事営業課に勤める今倉浩介と申します!」
 シュバッと姿勢正しく名刺を渡していくが、誰からも返してはもらえない。
 代わりに、引越し祝いの手土産を渡されている。笹井さんは挨拶はしたものの、そのあとは副社長にちらちらと視線を送るのをやめないでいる。
 その様子に、挨拶をした方々も「この子、なに?」と私に目線で伺うそぶりを見せるほどだ。
 それでもパーティーが続いていると、あとから現れた男性に今倉くんたちが驚きの声を上げた。
「金山専務!?」
 副社長よりも少し年上に見える男性は、どうやら金山商事の専務のようだ。今倉くんたちに挨拶をされてる最中、副社長を見つけて片手を上げながらこちらへやってきた。
「営業課の社員が開いたパーティーにきてるって昴から連絡があったら、くるしかないだろ」
 私は副社長の隣で、挨拶をして頭を下げる。
 金山専務と副社長は普段お酒を飲みに行く仲だという。
 
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