「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
金山専務の飲み物を取りにその場から離れると、やたら興奮した今倉くんに捕まってしまった。
「はる! お前すごいよ、こんな人脈持っていたなんて、どうして隠していたんだ!?」
「これは私の人脈じゃない。全部副社長のおかげだよ……って、笹井さん放っておいていいの?」
 その笹井さんは、私が離れた隙にまた副社長の側に行こうとしているようだ。金山専務が、ちらちらと不審そうに近付く笹井さんに視線を向けている。
「あいつは見た目だけだった。はるとは違って料理も洗濯もできないし、金ばっかりかかる。こんな風に、おれを盛り立ててくれる訳じゃないしな」
「だから、違うってば……!」
「うん、おれは騙されてたんだ。はるがいてくれたのに、清香に騙されてしまったんだよ」
 真剣に、怖い声色で今倉くんがぶつぶつと呟く。
 そうしていきなり私の腕を掴むと、大声を出した。
 
 
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