「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる
「あの……、今倉は、その鹿山さんと婚約してこのタワマンで暮らすはずだったのに、土壇場で笹井さんと浮気して乗りかえたんです。可哀想だから鹿山さんをパーティーに呼んでやろうって笹井さんが言って、今倉は誰でもいいからお持ち帰りしてやれよって言ってて……」
 それを聞いて、気分が悪くなり全身に鳥肌が立った。
「……最低」
 小さく吐き捨てると、私を抱く副社長の腕に力が入った。
「違う! おれはそんなこと……っ」
「言ってただろ! 鹿山さんとどうにかなれば、二人でローンを組んでお前らだってタワマンに住めるかもなって嫌味言ってたくせに!」
「違う、ちがう! 清香のことは本気なんかじゃなかったんだ! お前らがおれに清香が気があるってはやし立てるから仕方がなく……!」
 今倉くんは金山専務の前まで行き、違います!と必死に弁明している。
 
 
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