「社会勉強だ」と言って、極上御曹司が私の修羅場についてくる

激しい仲間割れを起こして、笹井さんは今倉くんに掴みかかっていた。騙された、なんて言われてプライドが許さないんだろう。
　副社長はさっき今倉くんに掴まれた私の腕に傷がないことを確認すると、再度肩を抱いてゆっくりと歩き出した。
　そうして今倉くんの前にくると、私の左手を取った。
「今倉さんは勘違いしているようだ。鹿山さん……いや、はるはもう俺の婚約者なので、これ以上はるに危害を加えるようなら法的措置もじさないですよ」
　私の左手の薬指にはめられた、リングを見せる。
「……えっ」
　私より先に、今倉くんは声を発した。
「それに君たちもだ。はるに変な気を起こすなら、俺は絶対に容赦はしない。徹底的にやらせてもらうから」
　優しげな副社長の雰囲気が一気に厳しくなる。今倉くんや友人、笹井さんは私と副社長の顔を交互に見ながら、どんどん青ざめていった。