心の美しさが顔に現れる世界になった結果~義妹と皇太子がどうなったかって?~
「それから、私のせいで外交問題って言ったわよね?」
 今度は隣国の第三王子を指さした。
「いえ、国際問題だったかしら?まさか、あなたの口からそんな言葉を聞くとは思いませんでしたわ。私が皇太子殿下のお気に入りだと知っていながら、口説いてきたでしょう?それだけじゃないわ。知っているだけで7名。婚約者……それも高位貴族の婚約者がいる女性と関係を持ちかけたわよね?それが国際問題にならないとでも思っているの?だいたい、留学してきたって言っても、何も勉強らしい勉強してないじゃない。女の尻ばっかり追いかけて。おおかた、国内でもいろいろトラブル起こして、居ずらくなって留学って名目で来たんじゃないの?そもそもさぁ、隣国の王子つったって、第三王子でしょ?この先勉強もろくにしない女たらしの第三王子に価値なんてあると思ってんの?国の厄介者として留学させられるようなクズがっ!」
 ……いや、流石に義妹よ……。クズなんて言えば外交上よろしくないのでは……。
 はぁーっと義妹は大きく息を吐き出して、皇太子殿下に視線を向けた。
「それから、心が美しいと思っていただ?そりゃそうでしょう、そう見えるように演技してたんだもの。コロッと騙されて。騙された方は何も悪くないというの?本当に心が美しいところが好きっていうならさ、聞こえてきてたでしょうよ。トリアンナとか。めちゃくちゃいろいろいい行いしてる子いたよね?なんでそっちに惚れないの?結局はさぁ、都合のいいように言い訳してるけど、醜悪魔女の言うように、顔よね。心だけ綺麗でも、顔が醜けりゃ気に入らないのよ。男なんて、10年もたてば、若い子に鼻の下を伸ばすようになるのよ。違う?あんたの父親も若い側室もらってるでしょ。年寄りの貴族の後妻に入るのは若い子ばかり。同じ年寄りを後妻にもらうことがあった?ねぇ、そんな事例があったかって、聞いてんのよ!心の美しい年寄りを後妻にもらってみなさいよ!あんたも、あんたも、あんたも!30年後に、40,50の女性を後妻にもらってみなさいよっ!何が悪いの。若い時しか見向きもされないのよ、女ってのはね。その短い間に、よりよい条件を備えた男を捕まえようと必死になって何が悪いの!」
 皇太子殿下は閉口したが、すぐに義妹をにらみつけた。
「不敬だ!」
 その言葉を聞いて義妹は笑いだした。
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