心の美しさが顔に現れる世界になった結果~義妹と皇太子がどうなったかって?~
 醜悪魔女がパチンと指を鳴らすと、鏡がぐんっと大きくなり天井へと近づく。そしてここではない別の部屋の様子が映し出された。
「いいか、絶対に一人たりとも外へ出すなよ!」
 陛下の叫びだ。
「分かっております。虫一匹出したりは致しませんっ」
「虫一匹か、この場合はあまり面白くない表現だが……人から人へと伝染するなど……おぞましい」
「もういっそ、皆殺しにしてしまいますか?」
「馬鹿が、殺すために派遣した者たちが今度は感染するだろう。自害などできまい」
「では……魔法をぶっぱなし、学園ごと消し炭にするというのは」
「うむ。そうしたいところだが、学園には生徒たちを守るために結界魔法が施されているだろう。王族も通うために、王宮レベルの強力なやつが」
「……確かにそうでした。ではやはり、暗殺者を送り込むしか……」
「志願したい者がいるか?国のためだ」
 それからも、国の重鎮たちが集まって話し合う様子が写されている。
「なんだと……父上は、俺を殺すつもりか!皇太子である俺がいなくなれば困るのは父上だろうっ!」
 そして第三王子も叫んだ。
「それこそ外交問題だっ!」
 騎士団長息子がこぶしを握る。
「くそっ。殺し屋など返り討ちにしてくれるっ」
 この様子を見ながら、アンドレア様が冷静な声でつぶやいた。
「まぁ、そうだろうね。伝染すると聞かされた時からそうじゃないかとは思ったよ」
「ええ。隔離する必要がありますものね。……しかし、隔離だけではなく処分しようとまで考えられるとは思いませんでしたわ。どうしましょう……」
  こうしている間にも、映し出されている王宮では、私たちをどのように殺そうかという話し合いが続いている。
「しかし、あそこには皇太子殿下も……よろしいのですか?」
「構わぬ。あいつは皇太子の地位ははく奪、廃嫡だ。今すぐな!」
 陛下が殿下の廃嫡を宣言した。
 ……え?ってことは、皇太子はどうなるの?
 目の前にいるアンドレア様の顔を見る。
 ……って、まさかね。アンドレア様もここにいる限り殿下と立幅そう変わらないものね。
 でも、王子は他にいない。いるのは王女だ。王女に女王になってもらうのかしら?
 隣国ではそういった例もあるけれど。
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