続》キミに…Kiss
あたしを助けてくれたのは藤咲くんで……。
昨夜から怒られてばかりのあたしはまた涙腺が弱まり、不覚にも彼の前で涙を見せてしまう。
「えっ!?先輩、泣いてるの?」
「グスッ…バカッ!泣くわけないでしょ」
誰の目から見ても、あたしは絶対に泣いてるんだけど……。
それを認めたくなくて、眼尻に姿を現した涙を急いで人差し指で拭った。
でも、いつでも正直なあたしのウソは簡単にバレちゃうんだ。
「なんで涙、隠すの?」
「……え」
「やっぱり先輩、泣いてんじゃん。泣いているところを誰にも見せたくないなら……」
その時、ふわっと…自分の体が温かい腕に包まれ
「オレが先輩の涙…隠してあげる」
優しい声が戸惑うあたしの耳に届いた。