続》キミに…Kiss

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放課後になって、あたしが窓から眺めていた雲はどんどん空を黒一色に染めていき


あげくの果てには大雨警報を発令するまでに発展させた。


突然のどしゃぶりの雨。


春の天気は変わりやすいなんて…よく言うけど。


「これはひどすぎるって!」


傘が役目を果たせないくらい雨が強く降りつけてくる。


どの部活も今日は休みになって、あたしも走って家に帰った。


「びしょ濡れだし…」


玄関の前で濡れたスカートの裾を絞って、ドアを開けようとすると


「あれ?カギが閉まってる?」


いつもならママがいるからカギなんてかけてないはずなのに。


不思議に思いながらも、カギを取り出して家の中に入っていった。


「ママ、いないの?」


リビングにも…キッチンにも、明るいママの姿は見えない。


「……え」


冷蔵庫に貼られた1枚の白いメモに目を奪われた。
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