続》キミに…Kiss

電気がついているだけの…シーンと静まり返った体育館の中。


「あっ……」


履きつぶしたバスケットシューズが入った黒い袋を手に持っている…1年生マネジャーの小野寺がいた。


「お前、なにしてんだ?」


「忘れ物しちゃって取りにきたら、これが……」


「ああ、それ。俺の…サンキュ」


だけど手を伸ばしたものの、小野寺は床に視線を伏せたままで


シューズが入った袋を俺に離そうとしない。


「おい?」


「ズッ……」


そんな鼻をすするような音が聞こえた後


「どうした?」


今にも涙が零れ落ちそうな瞳をした小野寺がいきなり顔を持ち上げた。



───バンッ



その瞬間手に持っていたバッシュが床に落ち、俺の胸の中に小野寺が飛び込んできた。


「ちょっと…お前!?」


「……すきです」
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