真夜中の「いただきます」
映画の内容は、ある地方にまつわる風習を調べにとある村に行った学者が謎の失踪を遂げ、彼の妻が学者を探すというものだ。その村の風習はある女性の怨念から行われることになり、その風習に触れたものを全員呪ってしまうという。

『……オ前、ラ……全員……皆殺……シ……』

女性の霊が低い声で言いながら、近付いてくる。痩せこけて血がこびり付いた顔が大きく映し出され、杏子は悲鳴を上げて研二の腕にしがみついた。

「だからやめた方がいいって言ったのに」

苦笑する研二の腕にさらに強く杏子は抱き付く。

「だ、大丈夫!今のはBGMに驚いただけだから!」

こうして映画鑑賞の時間は過ぎていくのだった。



その後は、忙しくてなかなか読めなかった漫画を読んだり、一緒にゲームをしたり、楽しい時間は過ぎていく。二人の遊ぶ手が止まったのは、酷い空腹感を覚えてからだった。

「なんかお腹空いたな〜。今何時?」

「うわ、もう十一時半だよ!時間経つの早すぎじゃね?」
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